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介護施設の人手不足を改善する方法とは?人手不足の現状や6つの原因も解説

介護サービスの需要が高まっている一方で、介護施設で人手不足が慢性化しているのはなぜでしょうか。人手不足を解消するためには介護施設の現状を認識し、原因を把握した上で適切な対策を講じることが重要です。

 

本記事では、介護施設の職員の方や経営者の方に向けて、人手不足の現状と原因などを解説します。人手不足を解消するための対策として、雇用・職員の定着率・業務効率化の3つの視点から効果的な改善策を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

データで分かる介護施設における人手不足の現状とその背景

介護施設の人手不足の悩みを解消するためには、まず現状を把握することが大切です。介護施設で人手不足が起こっている現状とその背景について、具体的なデータを見ながら確認していきましょう。

 

介護施設の離職率は平均より高い

 

公益財団法人 介護労働安定センターが2021年に公表した「令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について」によると、介護施設の離職率は近年低下していることが分かりました。2019年の離職率が15.4%であるのに対し、2021年は14.3%まで減少しています。しかしながら、介護施設の離職率は、全業種における離職率の平均よりも高い傾向にあります。

 

厚生労働省が2021年に公開した「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、全業種における離職率は13.9%。双方の調査結果から、介護施設で人手不足なのは、職員の離職率が高いことに起因している可能性があります。

 

出典:公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度「介護労働実態調査」結果の概要について」

 

出典:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」

 

介護施設の人手不足は深刻化しており倒産も増加している

 

介護施設の需要が増えることに伴い、人手不足はより深刻化しています。人手不足で介護サービスが提供できず、介護施設が倒産するケースも増えているようです。

 

厚生労働省は2021年に「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」を発表しました。同調査では、2019年を基準にした場合、介護職員数は2025年に約32万人、2040年には約69万人が不足すると推計しています。

 

また、介護職員数の推移は、2019年~2021年に約4万人の増加が見られるものの、不足数の増加のほうが圧倒的に多い傾向にあります。このように、介護施設の人手不足は長期的に対策が必要な状態です。

 

出典:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」

 

介護施設が人手不足になる6つの原因

 

介護施設で人手不足が起こるのは、主に6つの原因が挙げられます。

 

  1. 職場の人間関係が悪い
  2. 心身への負担が大きい
  3. 収入が低い
  4. 評価制度が整っていない
  5. 女性比率が高い
  6. 求人が多く採用が難しい

 

それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。

 

職場の人間関係が悪い

 

介護施設を退職する理由に多いのが、職場内の人間関係の悪化です。主な理由は以下のとおり。

 

  • 業務上で関わる人が多く、人間関係で苦労しやすい
  • 教育制度が整っていない
  • 部署異動が少なく、人間関係が固定化しやすい

 

介護現場では看護師やケアマネージャー、利用者など、業務で関わる人が多い傾向にあります。人間関係に不満があっても同じ職場で働き続けなければならない状況は、大きなストレスになりかねません。

 

また、教育制度が整備されておらず、将来に対する不安から退職する人も少なくありません。介護の仕事が好きで続けたいと思っても人間関係の悪化が原因で退職を選ぶケースが多く見られます。

 

心身への負担が大きい

 

介護業務は心身への負担が大きいために退職者が増え、人手不足につながっている現状があります。介護業務の中で負担が大きいとされる主な業務は、次のとおりです。

 

  • おむつ交換
  • トイレ・入浴の介助
  • 夜勤
  • 看取り

 

おむつ交換やトイレ・入浴の介助は、肉体への負荷が重いもの。夜勤がある場合は、生活リズムが崩れやすくなります。人手が足りないと休憩や休みを取りたくても、思うように取れないというケースも少なくありません。

 

何より、利用者を看取ることが職員にとって精神的な負担になっています。心身への負担が大きいほど長期間働き続けるのは難しく、一度退職すると復帰する可能性は低くなります。

 

収入が低い

 

介護職は他の業種と比べて、収入が低い傾向があります。厚生労働省が2021年に発表した「賃金構造基本統計調査」によると、介護職員の平均給与は約23万5,900円、ケアマネージャーの平均給与は27万7,700円でした。

 

一方、全業種の平均給与は30万7,400円となっており、介護職は全体の平均よりも低い傾向にあることが分かります。先述のとおり、心身への負担が大きい仕事に反し、収入が低いと感じる方が多いために待遇に不満を持ち、退職するケースが多いのかもしれません。

 

出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

 

評価制度が整っていない

 

仕事ぶりが評価に反映されないことも、人材が定着しづらい原因の1つです。介護施設で仕事に対する評価制度を整備していない場合、介護職員の能力や働きぶりを公正に評価できません。人事評価が給与に反映されないため、年功序列によって職員の昇給や昇格が決まることになります。

 

しかし、年功序列で昇給や昇格が決まると、懸命に働いても公正な評価がされず、職員のモチベーションが低下してしまいます。職員のやる気がなくなれば、職場に対する不満が増え、将来への不安が募り、結果的に退職を決めるという悪循環になりかねません。

 

女性比率が高い

 

介護職員は女性の比率が高く、出産や子育てを機に退職するケースが多く見られます。厚生労働省が発表した「介護労働の現状」によると、介護職員の女性の比率は66.1%で、特に訪問介護の職員における女性の比率は73.6%です。同調査の「介護の仕事をやめた理由」の項目では、人間関係の悪化に次いで多かったのが結婚・出産・妊娠・育児でした。

 

介護業務は、妊婦や子育て中の職員にとって心身の負担が大きい仕事です。また、保育設備がある介護施設が少なく、働きたくても退職せざるを得ない人材がいることも人手不足の理由の1つに挙げられます。

 

出典:厚生労働省「介護労働の現状」

 

求人が多く採用が難しい

 

求人を出す介護施設が多いことも、介護人材の確保を難しくしています。厚生労働省が発表した「有効求人倍率(介護関係職種)の推移」によると、2021年の介護関係職種の有効求人倍率は3.64%でした。一方で、全業種の有効求人倍率は1.03%であることから、介護職員を採用する難易度の高さが読み取れます。

 

介護施設の求人が多いと人材獲得の競争が激しくなるため、求職者にとって魅力的な条件や職場環境を提示する必要があります。求職者に興味を持たれなければ人材を確保できなくなり、人手不足に陥りかねません。

 

出典:厚生労働省「有効求人倍率(介護関係職種)の推移」

 

介護施設の人手不足を改善する方法

介護施設の人手不足を改善するための方法は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

 

  • 雇用を増やす
  • 職員の定着率を高める
  • 業務効率化を図る

 

それぞれを改善する具体的な方法を解説します。

 

雇用を増やす改善方法

 

まずは、介護施設の雇用を増やすための改善方法について確認していきましょう。

 

求人方法を工夫する

 

求人方法を改善すれば、人手不足の解消につなげられます。具体的な改善方法は以下のとおりです。

 

  • 求人広告の見直し・増加
  • 成果報酬型の求人サイトの活用
  • Webサイト・SNSでの情報発信

 

上記の方法で求職者の目に触れる機会を増やし、閲覧者が多い媒体で求人を掲載すれば、自施設の応募者を増やすことができます。応募者が増えれば必要な人材を確保しやすくなるため、人手不足を改善できる可能性が高まります。また、急な人手不足への対策として、人材派遣サービスを活用するのも有効な手段です。

 

 外国人介護士を雇用する

 

思うように応募者が増えない場合、外国人介護士を雇用するのも1つの方法です。日本は少子高齢化によって人口減少が続いており、介護業界をはじめとするさまざまな業種で人手不足が深刻化しています。

 

政府は人手不足を解消するために、外国人労働者の受け入れを推進しています。2008年には「日・インドネシア経済連携協定」が締結され、インドネシアから介護福祉士の候補者となる人材を受け入れました。2018年には、ベトナムから1万人を目標に介護人材を受け入れるという合意に至っています。介護施設が外国人介護士を受け入れる体制や環境を整え、積極的に採用することで人手不足の改善につなげることが可能です。

 

出典:厚生労働省「インドネシア人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」

 

職員の定着率を高める改善方法

 

こちらでは、介護職員の定着率を高めるための具体的な改善方法を解説します。

 

介護福祉士の資格取得を勧める

 

介護福祉士の資格取得を促すことが、介護施設の人手不足の改善につながります。国家資格の介護福祉士を取得すれば仕事の幅が広がるため、より自分に合った働き方がしやすくなります。ケアマネージャーや生活相談員、サービス提供責任者など、一般的な介護職員よりも給与が高い職種に就くことも可能です。

 

厚生労働省では、介護福祉士養成施設の在学者・入学予定者を対象に、無利子・返済免除ありの支援制度を運営しています。主な支援内容は以下のとおりです。

 

  • 貸付金額:月額5万円以内
  • 入学準備金:20万円以内
  • 就職準備金:20万円以内
  • 国家資格受験対策費用:4万円以内

 

教育施設の卒業後に介護福祉士として5年間勤務すると、返済が全額免除されます。近年、このような資格の取得推奨制度などを設けている施設も多くなっています。

 

出典:厚生労働省「介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ」

 

 職場環境の改善を図る

 

労働環境の見直しは、介護職員の定着率を高める改善策として有効な手段です。職場環境の改善を図ることは、職場への信頼性の向上や人間関係の改善につながります。ただし、職場ごとに改善すべき課題は異なるため、現状を把握するために課題の洗い出しから始めましょう。

 

課題の洗い出しに効果的な方法は、無記名のアンケート実施や個別面談です。洗い出した課題に優先順位を付け、優先度が高いものから適切な改善策を実施していきます。労働環境を改善できれば、職員の定着率を向上させることができます。

 

女性に配慮した職場環境の構築

 

女性が働きやすい職場環境を整えることは、介護職員の定着率や出産・育児後の職場復帰の確率を高めます。先述したとおり、介護職員は女性の比率が多いため、妊婦や子育て中の職員が働きやすい職場環境を整備することが重要です。具体的な改善策は以下のとおりです。

 

  • 妊婦に対して気遣いの声かけをする
  • 現場の職員の理解を促す
  • 負担が大きい業務を免除する
  • シフトを調整し、急な休みに対応できるようにする

 

妊婦でも働ける環境を整えることで、「子育てと仕事を両立できそう」と感じる職員が増えるかもしれません。結果的に、出産後に職場復帰を検討する職員を増やすことにつながります。

 

業務効率化による改善方法

 

業務効率化を進めることで、人手不足の改善につながる場合があります。具体的な改善策を解説します。

 

ユニットケアを導入する

 

ユニットケアの導入は、介護業務の効率化につながります。ユニットケアとは、1つのユニットに10人程度の入居者を割り振り、担当の職員が介護する方法です。決まった職員がユニット内の入居者を担当するため、一人ひとりに合った適切な介護を行えます。

 

また、少人数制で知見が溜まりやすく、業務の改善がしやすいため効率化を図れます。ユニットで得た知見を他のユニットに活用すれば、介護サービスの質を向上させることも可能です。

 

ユニットケアは職場内で関わる人を減らし、人間関係をシンプルにするのにも有効な施策です。人間関係の悪化を防ぐことができれば、職員のストレスを低減できます。

 

ITツールやシステムを導入する

 

介護業務の効率化に有効な改善策として、ITツールやシステムの導入が挙げられます。テクノロジーの発達に伴い、介護業務に便利なITツールやシステムの開発が進められており、業務効率化のために導入を検討する介護施設が増えています。具体的な改善策は以下のとおりです。

 

  • 日報・介護記録の管理を紙からデジタルへ移行する
  • 勤怠・シフトなどの管理ができるアプリ・システムを導入する
  • 見守り支援ロボットなど、IoT(モノのインターネット)を導入する

 

上記の改善策を実施することで業務効率化はもちろん、業務負担が減少して職員の満足度向上も期待できます。

 

 調理済み食材提供サービスを利用する

 

調理済み食材提供サービスの活用は、調理業務の効率化につながります。このサービスでは、すでに調理された食材が施設に届きます。

 

調理済み食材提供サービスを利用すれば、施設内で調理する必要がなくなります。さらに、調理業務の効率化やフードロスの削減、人件費などのコスト削減も可能です。食材管理やメニュー作成が不要なため、調理業務に携わる職員の負担を減らすこともできるでしょう。

 

また、プロが作った品質の高い食事や多様なメニューを提供できるため、利用者の満足度向上も図れます。食事提供の自由度やコスト面を重視するなら、お弁当の配送サービスよりも調理済み食材提供サービスがおすすめです。

 

介護施設の人手不足の改善をサポートする「まごの手キッチン」

グローバルキッチンの「まごの手キッチン」は、高齢者施設や介護施設向けに調理済みの冷凍食材を提供しているサービスです。メニューは和・洋・中合わせて800種類以上あり、介護食にも対応しています。献立作成は栄養のプロである管理栄養士が行っており、栄養バランスの良い食事を提供でき、利用者の栄養管理もしやすくなります。

 

注文サイクルが短く在庫を持たずに済むため、大きな冷凍スペースを確保する必要がありません。冷凍庫が必要な場合は無料貸し出しサービスを利用できます。

 

まごの手キッチンは定期利用以外に人手不足になりやすい朝食のみ、行事食のみなどのスポット利用も可能です。また、食材を解凍・湯煎するだけで食事を提供できるため、業務効率化による人手不足の改善やコスト削減が期待できます。

 

介護施設の人手不足は改善できる

介護施設における人手不足の主な原因は、介護職員を雇用する難易度や離職率が高いことです。介護職員の雇用を増やすには、求人方法の工夫や外国人介護士の雇用などが挙げられます。

 

また、離職率を下げ、人手不足を改善するためには、職場環境を整えて職員の定着率を高め、業務効率化を図ることが重要です。特に、施設内で食事提供している場合は調理済み食材提供サービスを活用することで、調理業務の効率化やコスト削減を図れます。

 

「まごの手キッチン」では、高齢者施設で提供する普通食や介護食を検討されている方に向けて無料サンプルを送付しています。介護施設職員の方や経営者の方は一度お試しください。

 

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