小さい介護施設の経営が難しい理由とは?成功させるポイントを解説

高齢化が進む日本において、介護施設はなくてはならない重要な施設です。とくに、「小規模多機能型居宅介護」や「地域密着型サービス」などの小さな介護施設は地域に根ざした柔軟なサービスを提供しやすいのが魅力だといえます。
一方、小さな介護施設は経済面や人材面で課題を抱えやすく経営が難しく、小さな介護施設の開業を検討している方のなかには、「小さな介護施設の経営が難しいといわれる原因を把握しておきたい」「小さな介護施設の経営を成功させるコツを知りたい」といった方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、小さな介護施設の経営が難しいとされる理由や、開業を成功させるポイントなどを解説します。小さい介護施設を開業する手順も紹介するので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
小さい介護施設の経営が難しい理由
小さい介護施設は、地域密着型で利用者との距離が近く、柔軟なサービスを提供できるという強みがあります。しかしその一方で、経営面では多くの課題を抱えているのも事実です。ここでは、小さい介護施設の経営が難しいといわれる主な理由について解説します。
他の介護施設との差別化
小さい介護施設の経営で最初に課題となるのが、大手事業者や地域内の競合施設との差別化です。介護サービスの質はもちろん重要ですが、利用者や家族は施設の清潔感や立地、料金体系、スタッフの雰囲気など複数の要素を比較して選びます。そのため、小さい介護施設は独自性を打ち出さなければ、数多くの施設のなかに埋もれてしまいやすいのが課題です。
近年は有料老人ホームやデイサービスなどの多様な施設が増加し、「どこも同じようなサービス」という印象を持たれやすくなっています。差別化を図るには、地域の高齢者ニーズを丁寧に把握し、「リハビリ特化型」「医療連携重視」「家庭的な少人数ケア」など、強みを明確に打ち出すことが大切です。
しかし、マーケティングやブランディングに十分な人員や予算を割けない施設も多く、継続的な取り組みが難しいのが実情です。その結果、他施設との価格競争に巻き込まれ、収益性が低下してしまうケースも見られます。
人手不足の深刻化
小さい介護施設が直面する最も深刻な問題の一つが人手不足です。介護業界全体で人材確保が難しいなか、小さい介護施設は給与や福利厚生の面で大手に比べて不利になることが多く、採用競争で苦戦しやすい傾向があります。必要な人員基準を満たせなければ、指定取り消しや報酬減算のリスクも発生するため要注意です。
また、スタッフの数が少ないため、一人ひとりの負担が大きくなりやすい点も問題です。急な欠勤や離職が発生すると代わりが見つからず、経営者や管理者が現場に入らざるを得ないことも少なくありません。結果として過労状態になり、サービス品質の低下や事故につながるリスクが高まります。
人材を定着させるためには、賃金の改善だけでなく、働きやすい職場環境づくりやキャリア支援が欠かせません。しかし小規模事業所では、研修制度や評価制度の整備が難しい場合も多く、離職率が高くなる傾向があります。この悪循環を断ち切るためには、スタッフが安心して働ける体制を整えることが必要です。
制度変更や法改正
介護保険制度は数年ごとに報酬改定や運営基準の見直しが行われます。小規模事業者は、こうした制度変更への対応力の弱さが大きな経営リスクになります。人員配置や加算要件の変更に伴い、急なシフト調整や書類の修正を迫られることも少なくありません。
たとえば、介護職員等処遇改善加算の要件が変更された際には、書類作成や報告業務の増加で事務負担が急増しました。小規模施設では事務専任スタッフを配置できないことも多く、経営者が自ら法改正の理解から書類対応まで行うケースもあるでしょう。その結果、現場との両立が難しくなり、ミスや遅延が発生するリスクが高まります。
さらに、介護報酬の引き下げや加算要件の変更は、収益に直結するポイントです。経営体力の乏しい施設では、わずかな報酬改定でも赤字に転じることがあります。そのため、制度改正に素早く対応するための情報収集力と経営管理が不可欠です。
財務管理と資金繰りの難しさ
小さい介護施設では、安定した資金繰りを維持することが大きな課題となります。介護報酬はサービス提供から入金まで1〜2か月のタイムラグがあるため、運転資金に余裕がない場合は一時的な資金不足に陥ることがあります。また、利用者数の変動や加算の取り扱いによって収入が左右されやすく、予測が難しい点も経営を圧迫する要因です。
さらに、建物の修繕費や車両の維持費、職員の賞与など、定期的に発生する支出も少なくありません。とくに、感染症対策や災害時備蓄などの突発的なコストが発生すると、資金計画が崩れるリスクがあります。
そのため、経営者は日常的にキャッシュフローを把握し、数か月先を見据えた資金計画を立てることが重要です。
加えて、経営基盤の小さい施設ほど金融機関の融資審査で不利になりやすく、追加融資を受けにくい傾向があります。自治体の補助金や公的融資制度を積極的に活用し、リスクを分散させる工夫が必要です。
安定した経営を続けるためには、日々の支出を可視化し、無駄を省く経営の見える化が欠かせません。
小さい介護施設を開業する方法
小さい介護施設を開業するには、複数のステップが必要です。ここでは、開業までの流れをわかりやすく紹介します。
開業手続きを始める前に
介護事業は公益性が高く、開業には厳格な基準が設けられています。施設の種類によって必要な資格や人員基準、設備要件が異なるため、まずどの介護サービスを提供するかを明確にすることが大切です。
たとえば、デイサービス(通所介護)は日帰り利用者を対象に入浴や食事、機能訓練を行います。一方、有料老人ホームやグループホームは入所施設のため、夜勤体制や防災設備が必要です。
また、開業には数百万円から数千万円単位の初期費用がかかります。建物の改装費、介護機器や備品の購入費、人件費、開業後の運転資金などを考慮し、余裕を持った資金計画を立てましょう。
介護施設開業の手順
介護施設を開業するまでの主な手順は以下のとおりです。
1.サービス形態の決定
2.法人設立
3.資金調達
4.設備の確保
5.人材の確保
6.指定申請
各ステップについて、実施内容を確認しておきましょう。
まずは、サービス形態の決定です。
介護保険法に基づいたサービスには、訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)、グループホームなど、多岐にわたる種類があります。
施設の場所や地域特性、ターゲットとする利用者のニーズを考慮して、最も適したサービス形態を選ぶことが大切です。
続いて、法人を設立しましょう。介護保険サービスを提供するには、法人格(株式会社、合同会社、社会福祉法人など)が必要です。登記や定款作成を行い、法人としての基盤を整えます。
さらに、資金調達を行います。
介護施設の開設には、物件の取得または賃貸費用、改修費用、備品の購入費用、人件費、そして数か月分の運転資金など、多額の初期費用がかかります。
この資金をどのように調達するかが、開業の成否を分けます。
自己資金で賄えない部分は、金融機関からの融資や、国や自治体の補助金・助成金の活用を検討することになります。
資金調達について計画できたら、設備を確保します。建物の立地選定から始まり、内装工事、介護に必要な備品(ベッド、車椅子、リハビリ機器など)の購入までを行います。
次に、人材を確保します。
事業計画に基づき、必要な人員配置基準を満たすために、施設長、管理者、介護職員、看護職員などの人材を採用しましょう。
採用後の定着率を高めるための働きやすい環境づくりや、充実した研修制度の整備も欠かせません。
施設や設備、人員の準備が整ったら、都道府県や市町村に対し、介護保険事業者の指定申請を行います。
申請には、事業計画書、法人登記簿謄本、人員配置計画、施設の図面など、膨大な書類が必要となります。
上記の準備が整ったら、いよいよ開業・運営を開始します。指定通知書を受け取ったあと、介護保険請求の登録を行い、利用者募集を開始しましょう。地域包括支援センターやケアマネジャーとの関係づくりも重要です。
小さい介護施設経営を成功させるポイント
小さい介護施設の経営を安定させるためには、資金面の持続性だけでなく、利用者満足度の向上とスタッフの定着を両立させることが大切です。ここでは、経営を成功に導くための具体的なポイントを紹介します。
競合施設のリサーチ
まずは地域の競合施設を調べることが重要です。人口構成や高齢化率、既存施設の種類や料金体系を把握することで、過剰供給エリアを避けることができます。
現地調査を行い、競合施設の利用者層やサービス内容を確認することも大切です。行政の介護保険事業計画や地域包括支援センターの情報も活用し、将来的な需要を見据えた経営戦略を立てましょう。
人材育成と確保
介護施設の品質は、働く人材の質によって大きく左右されます。人手不足の中でも安定した経営を実現するためには、職員の定着と育成が鍵になります。シフトの柔軟化・残業削減・資格取得支援制度などは職員のモチベーション向上に効果的です。
また、キャリアパス制度を導入し、経験や能力に応じた昇給・役職を明確にすることも、長期的な人材確保につながります。さらに、職員同士のコミュニケーションを促進し、意見交換ができる風通しのよい職場をつくることが重要です。
業務の効率化
限られた人員で運営する施設では、業務効率化が経営安定の鍵となります。ICTシステム(インターネットを利用して情報やコミュニケーションを行うシステムツール)を導入して介護記録や請求処理を自動化すれば、事務作業の負担を軽減できます。また、たとえば、性別や能力を問わずに食事を提供できる体制を整えることで、高スキルな正社員ではなくパート従業員を雇用できるようになります。この場合、社会保険などの企業負担する費用を抑えることも可能となります。高いスキルが求められない分、パート従業員の応募が短期間で集まりやすくなり、求人募集期間を短く抑えて求人掲載費も低減できるでしょう。このようにして、人件費を抑えつつ衛生管理を強化することも可能です。
さらに、調理済み冷凍食材や再加熱器を導入することで、少人数でも温かい食事を提供できます。業務マニュアルを整備し、作業手順を標準化することも欠かせません。属人化を防ぎ、誰が担当しても同じ品質を保てる体制を整えることが重要です。
差別化
小さい介護施設が長期的に生き残るためには、明確な差別化戦略が必要です。たとえば、特定の疾患対応やリハビリ特化型サービス、地域イベントへの積極的な参加など、他にはない価値を創出しましょう。
地域の医療機関やリハビリ専門職と連携し、利用者の在宅復帰を支援する施設は高い信頼を得やすい傾向にあります。また、家庭的な雰囲気や手作りの食事など、「人の温かみ」を重視することも効果的です。
地域との連携と信頼関係の構築
小さい介護施設が長く地域で選ばれ続けるためには、地域との信頼関係の構築が欠かせません。地域包括支援センターや自治体、医療機関、ボランティア団体などと日常的に連携を取り、地域ネットワークの一員として活動することで、利用者の紹介や相談機会を増やすことができます。
とくに医療機関との関係は重要で、往診医や訪問看護ステーションと連携すれば、急変時の対応力を高められ、家族からの安心感にもつながります。また、地域行事や高齢者向けセミナーへの参加を通じて、施設の存在を広く知ってもらうことも効果的です。
このように、地域に根差した施設づくりを意識することで、集客面・信頼面の双方で安定した経営基盤を築くことができます。
まとめ
小さい介護施設の経営は、他施設との差別化や人材確保、制度改正への対応など、常に課題がつきまとう分野です。とくに限られた人員と予算で運営する施設では、現場の業務効率化や安定した収益の確保が大きなテーマになります。
しかし、課題を正しく把握し、地域とのつながりを築きながら、利用者や職員にとって満足度の高い施設運営を行うことで、長期的に安定した経営を実現することは可能です。
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