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介護施設の利益率の現状とは?落ち込んだ原因や向上させる方法を解説

介護施設の利益率は年々低下傾向です。この原因としては人材不足や物価高騰、競争の激化などが挙げられ、各施設では利益率向上に向けた取り組みが求められます。

とはいえ、介護施設が行うべき取り組みにはさまざまなものがあるため、「自施設の利益率向上に向けた具体的な取り組みがわからない」といった方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、介護施設の利益率の現状や、利益率を上げるための具体的な方法について解説します。利益率が落ち込む原因についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

 

介護施設の利益率の現状

 

近年、介護施設の経営環境はますます厳しくなっており、利益率の低下が深刻な課題となっています。利用者の需要は高まっているものの、報酬改定や人件費の上昇、物価高騰などが重なり、経営の安定性が損なわれているのが実情です。

 

とくに介護保険制度に基づく事業は、報酬単価が国により厳密に定められているため、利益率を自力で引き上げる余地が限られています。

 

厚生労働省が発表した「令和5年度介護事業経営実態調査」によると、介護サービス全体の平均収支差率(営業利益率に相当)は2.4%となっており、前年度から0.6ポイント低下しました。

 

サービス別に見ると、訪問系サービス(訪問介護・訪問看護など)は比較的高めの水準を維持しており、訪問介護では約8%の利益率が報告されています。一方で、入所型施設である特別養護老人ホームや介護老人保健施設では1〜2%前後にとどまり、赤字に転じる施設も少なくありません。

 

介護施設の利益率は、事業形態や運営規模によって大きく異なります。一般的な目安として、以下のような傾向です。

 

施設・事業形態

平均利益率

特別養護老人ホーム

1〜2%前後

介護老人保健施設

2〜3%前後

有料老人ホーム

4〜6%前後

デイサービス(通所介護)

3〜5%前後

訪問介護(ホームヘルプ)

7〜8%前後

 

これらの数値からも分かるように、公的介護報酬に依存するほど利益率が低い傾向が明確です。自費サービスを取り入れている有料老人ホームや通所リハビリなどは比較的高い利益率を確保している一方で、社会福祉法人主体の特養などでは、制度依存の影響を強く受けています。

 

介護施設の利益率の計算方法

 

介護施設の利益率を把握することは、経営の健全性を判断するうえで欠かせません。利益率を正しく算出することで、コスト構造の見直しや収益改善の方向性を明確にできます。

 

介護施設における利益率(営業利益率)は、次のように計算されます。

 

営業利益率 = (営業利益 ÷ 売上高) × 100

 

営業利益とは、施設が本業で稼いだ利益のことで、売上高から人件費・材料費・減価償却費・光熱費・その他の経費を差し引いた金額です。介護事業の場合、売上高は「介護報酬+自費サービス収入+その他収益」として計上されます。

 

たとえば、年間売上高が1億円で、営業利益が300万円の場合は、利益率は次のとおりです。

 

300万円 ÷ 1億円 × 100 = 3%

 

この数値が3%前後であれば、業界の平均的な経営水準といえます。5%以上を確保している施設は、コスト管理やサービス設計がうまく機能していると考えられるでしょう。

 

利益率と混同されがちな指標に「粗利率(売上総利益率)」があります。粗利率は、売上高から材料費・外注費などの変動費のみを差し引いた利益率で、事業の採算性を判断するための指標です。

 

粗利率 = (売上高 − 変動費) ÷ 売上高 × 100

 

介護施設では、主な変動費は「食材費」「消耗品費」「委託費」などが該当します。

介護施設の利益率が落ち込んだ原因

 

介護施設の利益率は年々低下しており、とくに中小規模の施設では収支が悪化している傾向があります。その背景には、複数の要因が絡み合っています。ここでは代表的な原因として以下の3つについてチェックしておきましょう。

 

  • 人材不足
  • 物価高騰
  • 競争の激化
  • 新型コロナウイルスによる影響

人材不足

 

介護業界で最も深刻な問題が人材不足です。高齢化に伴って介護需要が増加する一方で、介護職員の確保が追いついていません。厚生労働省によると、2025年には全国で約32万人の介護人材が不足すると推計されています。

 

人材不足は採用コストの上昇や人件費の増大を招くだけでなく、既存スタッフへの負担増、離職率の上昇、生産性の低下など、利益率を圧迫する要因となっています。

 

さらに、職員の定着を図るために賃上げを実施しても、介護報酬による収入は上限があるため、収支のバランスが取りづらいというのが現状です。

 

物価高騰

 

近年の物価高騰も、介護施設の利益率を押し下げる大きな要因となっています。食材費や光熱費、燃料費、消耗品費など、介護施設の運営に欠かせないコストが全体的に上昇しており、経営への影響は無視できません。

 

とくに給食を提供する介護施設では、食材価格の高騰が直接的な負担となります。また、電気代やガス代の上昇は、24時間稼働が基本となる介護施設にとって大きな固定費増加につながります。こうしたコスト増は、日々の積み重ねによって利益率を着実に圧迫していきます。

 

一方で、介護報酬は公定価格であり、物価上昇に合わせて柔軟に価格転嫁できない点も大きな課題です。利用料を自由に引き上げることが難しいため、コストだけが先行して増加し、収支のバランスが崩れやすくなっています。

競争の激化

 

介護市場の拡大に伴い、施設間の競争も激化しています。とくに都市部では、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が乱立し、利用者の奪い合いが発生しています。

 

その結果、入居率(稼働率)が下がり、固定費をまかなえずに利益率が低下するケースが増加傾向です。さらに、差別化を図るために設備投資やサービス品質の向上にコストをかけすぎると、利益を圧迫する要因になります。

 

地方では一見競争が少ないように見えますが、人口減少により利用者数そのものが減少しており、稼働率の維持が難しいという別の課題が存在します。

新型コロナウイルスによる影響

 

新型コロナウイルス感染症の拡大は、介護事業に深刻な影響を与えました。通所サービスの利用制限、面会制限による利用控え、人員確保の難化などにより、多くの施設で売上が減少しています。

 

感染防止対策に伴う消耗品費・衛生管理費の増加も経営を圧迫し、収益構造の悪化を招きました。とくにデイサービスやショートステイなど、利用者の出入りが多い事業形態では影響が大きく、2020〜2022年にかけて利益率が大幅に低下しました。

 

コロナ禍の影響は落ち着きつつあるものの、人材確保や稼働率の回復は依然として課題として残っています。

介護施設の利益率を向上させる方法

 

介護施設の利益率を向上させるためには、いくつかの工夫が必要です。ここでは、介護施設の利益率向上に向けた以下の3つの方法について解説します。

 

  • 稼働率の向上
  • 業務効率化
  • 加算の取得

稼働率の向上

 

介護施設の経営で最も重要なのが、稼働率(入居率)をいかに維持・向上させるかです。稼働率が高ければ高いほど固定費を効率的に回収でき、利益率が上昇します。とくに近年では、デジタルマーケティングの活用や紹介システムの整備によって、地域内での認知度を高め、安定した入居者確保を実現する事例も増えています。

 

稼働率を高めるためのポイントとしては、次のような取り組みが有効です。

 

  • 地域包括支援センターや病院との連携を強化し、紹介経路を確保する
  • ホームページやSNSを活用し、施設の魅力や空室状況を発信する
  • 短期入所(ショートステイ)やデイサービスなど、複数事業を組み合わせる
  • 家族や利用者からの口コミ評価を高める取り組みを行う

 

地域包括支援センターや病院との連携強化

 

介護施設の稼働率を高めるには、安定した入居・利用者紹介の仕組みづくりが欠かせません。とくに地域包括支援センターや病院との連携は、利用者獲得の重要な経路です。退院後の受け入れ先として介護施設を提案してもらえるよう、医療機関との情報共有や定期的な面談、勉強会の開催などを行うと効果的でしょう。

 

また、地域ケア会議や福祉ネットワークへの参加を通じて信頼関係を築くことで、行政やケアマネジャーからの紹介件数を増やすことも可能です。こうした地域連携を戦略的に強化することで、安定した稼働率維持と利益率の底上げが期待できます。

ホームページやSNSの活用

 

インターネットを通じた情報発信も、利用者獲得に欠かせない要素です。施設の特徴やサービス内容、日常の取り組みを写真や動画でわかりやすく紹介することで、見学や問い合わせにつながりやすくなります。とくに、公式ホームページで最新の空室状況を公開し、問い合わせフォームを整備しておくと、紹介以外の経路からも入居希望者を取り込むことが可能です。

 

また、X(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSを活用すれば、利用者の家族や地域住民に向けて施設の雰囲気やイベントの様子をリアルタイムに発信できます。オンライン上での信頼構築は、施設の認知度と稼働率向上の両方に寄与するでしょう。

短期入所(ショートステイ)やデイサービスなどとの組み合わせ

 

空床や人員の稼働を最適化するには、複数の介護サービスを組み合わせて提供することが有効です。たとえば、長期入所の空室期間に短期入所(ショートステイ)利用者を受け入れることで、収益の空白期間を減らせます。

 

また、デイサービス(通所介護)を併設すれば、在宅介護利用者との接点が増え、将来的な入所につながるケースもあります。複数事業を併用することにより、スタッフのシフト調整や設備利用の効率化も進み、全体の利益率を引き上げる効果が期待できます。地域のニーズや施設規模に応じて、最適なサービス構成を検討することが重要です。

家族や利用者からの口コミ評価を高める

 

口コミは、介護施設の信頼性を高めるうえで非常に重要な要素です。とくに近年では、入居検討者がインターネット上のレビューや家族の紹介を参考にする傾向が強まっています。家族とのコミュニケーションを密に取り、定期的な面談や情報共有を行うことで、安心感や満足度を高められるでしょう。

 

また、行事やイベントの様子を共有したり、利用者の声を積極的に施設運営に反映させたりすることも有効です。満足度の高い利用者が増えれば、自然と口コミによる紹介が拡大し、地域内での評判向上につながります。結果として、新規入居者の獲得コストを抑えつつ、稼働率と利益率の双方を高めることが可能です。

業務効率化

 

次に重要なのが、業務効率化によるコスト削減です。介護施設では、人件費が経費全体の60〜70%を占めるため、利益率改善には業務プロセスの最適化が求められます。ここでは、介護施設での業務効率化に向けた具体的な方法として、以下の4点についてチェックしておきましょう。

 

  • ICT(情報通信技術)システムや介護ソフトの導入で記録・請求業務を自動化する
  • センサー・見守りシステムの導入で夜勤負担を軽減する
  • 食事提供の外部委託・効率化
  • シフト管理と業務分担の見直しによる人員最適化

 

ICT(情報通信技術)システムや介護ソフトの導入で記録・請求業務を自動化する

 

介護施設では、介護記録・請求書作成・加算管理など、事務作業の比重が大きいのが現実です。これらの業務をICT(情報通信技術)や介護ソフトで自動化することで、職員の手作業を減らし、大幅な時間削減が可能になります。

 

たとえば、介護記録ソフトを使えば、スマートフォンやタブレットでその場で入力でき、手書き転記や二重入力を防げます。請求業務もシステムが自動計算してくれるため、締め処理のミスを減らせる点も大きなメリットです。結果的に、スタッフがケア業務に専念できる環境が整い、残業時間の削減や離職率低下にもつながります。

センサー・見守りシステムの導入で夜勤負担を軽減する

 

近年注目されているのが、IoTモノのインターネットを活用した「見守りセンサー」や「離床検知システム」です。入居者のベッドに設置されたセンサーが、呼吸・体動・離床を自動で検知し、ナースコールやスマートフォンに通知します。

 

従来のように定期巡回を続けなくても、必要なときだけ対応できるため、夜勤スタッフの負担軽減や業務の効率化につながります。また、転倒リスクの早期把握にも有効で、介護の安全性と生産性を両立できる点が特徴です。人員不足が深刻な施設では、こうしたテクノロジーの導入が利益率改善に役立ちます。

 

食事提供の外部委託・効率化

 

介護施設では、調理・盛付・配膳・洗浄など、厨房関連の業務負担が大きく、人件費や光熱費も多くかかります。これを効率化する方法として、給食委託サービスの活用があります。

 

たとえば、専門事業者に食事提供を委託すれば、調理人員の確保や衛生管理の手間を削減でき、メニュー開発や栄養バランスも一括して管理可能です。結果として、厨房関連コストの削減と同時に、職員の負担軽減・入居者満足度の向上にもつながります。

 

食事は入居者の生活満足度を左右する重要要素でもあるため、効率化しながら品質を高めるアプローチが求められます。

シフト管理と業務分担の見直しによる人員最適化

 

業務効率化は単なる機械化だけでなく、人の配置を最適化することも重要です。介護施設では、時間帯によって業務量が大きく変動するため、シフト表の設計次第で大きなムダが生まれます。

 

AIや勤務管理システムを使えば、入浴・食事・夜勤などのピーク時間に合わせて自動的に最適シフトを作成できるため、過剰配置を防げます。また、介護・清掃・調理補助といった業務を分業化・専門化することで、個々のスタッフの負担を均等化し、離職リスクの低減にもつながります。

加算の取得

 

介護施設の利益率を向上させるためには、介護報酬上の「加算」を適切に取得することが欠かせません。加算とは、国が定める一定の条件を満たすことで、通常の介護報酬に上乗せして受け取れる報酬制度のことです。つまり、同じサービス提供でも、要件を満たせばより高い収入を得られる仕組みといえます。

 

代表的な加算には、以下のようなものがあります。

 

  • 処遇改善加算:職員の処遇改善に取り組む事業所に付与
  • 夜勤職員配置加算:夜勤体制を強化した施設に付与
  • 医療連携加算:医療機関と連携した体制を整備した場合
  • リハビリテーション加算:機能訓練指導員を配置してリハビリを実施した場合

 

加算を取得する最大の目的は、人件費や設備費の上昇に対して収益を補うことにあります。たとえば、処遇改善加算を活用することで、介護職員の給与引き上げを実現し、採用力・定着率の向上につなげることが可能です。

 

また、科学的介護情報システム(LIFE)を活用した加算を取得すれば、データに基づく介護(エビデンスベースドケア)を推進し、施設全体の評価向上にも寄与します。こうした制度対応は、行政・利用者双方からの信頼獲得にもつながるでしょう。

 

加算取得の具体的なステップは、以下のとおりです。

 

  1. 取得可能な加算の洗い出し
  2. 加算要件を満たす体制づくり
  3. 計画書・実施記録の整備と届け出

 

まず、自施設がどの加算を取得できるかを整理します。職員配置・資格・設備・提供体制など、現状を客観的に分析することが第一歩です。とくに「夜勤職員配置加算」「機能訓練加算」などは、スタッフの有資格者数や勤務体制が要件に関係するため、事前確認が求められます。

 

要件を満たしていない場合は、人員配置・研修・設備投資などの改善を行います。たとえば「口腔衛生管理体制加算」では、歯科医師や歯科衛生士との連携が必要になるため、地域の医療機関との連携体制の構築が必要です。

 

加算の取得には、計画書や運営体制を示す書類の作成、自治体への届け出が求められます。加算によっては毎年度の更新や定期報告が必要な場合もあるため、継続的な記録管理体制を整えることが大切です。

 

加算を取得すれば確かに報酬単価は上がりますが、要件を満たし続けるための運用コストや職員教育も同時に発生します。要件を一時的に満たしていても、監査時に不備があれば加算返還を求められるケースもあります。そのため、運用を形だけで終わらせず、日々の業務プロセスに根付かせることが必要です。

グローバルキッチンの「まごの手キッチン」がおすすめ

 

本記事では、介護施設の利益率について解説しました。介護サービス業では、利用者数・稼働率・固定費管理・人件費の上昇など多くのハードルが重なっており、利益率2〜3%水準という厳しい経営環境が続いています。訪問系の一部では高めの利益率を出せているものの、全体的に見ると収益改善余地が残されている状況です。

 

そこでおすすめなのが、介護施設向けの食事提供サービス 「まごの手キッチン」 です。

 

「まごの手キッチン」は、全国の介護施設・高齢者住宅・病院などに向けて、栄養バランスに優れた食事をリーズナブルな価格で提供している食事提供サービスです。管理栄養士監修の献立に基づき、和洋中バリエーション豊富なメニューを安定供給できるため、入居者の満足度を維持しながら、厨房運営の負担を大幅に軽減できます。

 

また、調理済み冷凍食材を活用することで、専門的な調理スキルがなくてもおいしく安全な食事を提供できる点も魅力です。これにより、介護職員が本来のケア業務に集中でき、全体の業務効率化とコスト削減を同時に実現できます。

 

介護施設の経営効率化を進めたい方は、ぜひまごの手キッチンの導入を検討してみてください。

 

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