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ニュークックチルとは?メリットや調理の流れを解説

ニュークックチルは、大量の調理を行う現場において、効率化と安全性向上を両立できる新しい調理方式です。導入により、提供当日の作業負担が軽減するだけでなく、一人ひとりに温かい料理を提供できるようになります。

本記事では、ニュークックチルとは何か、メリットや調理の流れなどを解説します。従来のクックチル方式との違いも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

ニュークックチルとは

ニュークックチルは、大量調理現場で効率性と安全性を両立するために開発された新しい調理システムです。調理後すぐに急速冷却を行い、チルド状態で盛り付け、そのまま提供直前に器ごと再加熱して配膳します。これにより、従来のクックチルに比べて作業工程が効率化され、提供時の温度や品質が安定します。

この方式が注目される背景には、人手不足や働き方改革の流れがあります。病院や介護施設、学校給食のような大量調理現場では、従来の調理工程では早朝や昼前の時間帯に作業が集中し、労働負担が大きくなっていました。ニュークックチルは盛り付けを前日に済ませられるため、当日の業務は再加熱と配膳のみとなり、調理スタッフの負担が軽減されます。

また、急速冷却により細菌の繁殖を抑えられるため、食品衛生管理の水準が向上しやすい点も重要です。調理後すぐに冷却することで、料理の風味や色合いを損なわずに保存でき、利用者にとってもおいしさを感じやすい提供方法といえます。

 

ニュークックチルで重要な再加熱器とは?

再加熱器とは、ニュークックチルでチルド保存された料理を、提供直前に適正温度まで加熱するための専用機器です。盛り付け済みの器ごと温めるため、中心温度を75℃以上に安全かつ均一に上げる性能が求められます。再加熱器の性能が不十分だと、料理の温度ムラや乾燥が生じやすく、品質や衛生面に影響するため、ニュークックチル運用の要ともいえる存在です。

再加熱器の主な種類としては、熱風循環式(コンベクションタイプ)やスチーム併用式、IHやヒートプレートによる接触加熱式、さらに病院・介護施設向けに多い配膳車一体型(リヒートカート)があります。

熱風式は大量加熱に優れ、スチーム式は乾燥を抑えてふっくら仕上げられるのが特徴です。一方、接触式は短時間で立ち上げられますが、専用トレイや器との適合が求められます。

再加熱器の選定では、加熱方式だけでなく、収容量・予熱時間・清掃性・記録機能(HACCP対応)なども重視することが大切です。

 

ニュークックチルとクックチルとの違い

従来のクックチルとニュークックチルとの違いを解説します。両方式の主な違いは、以下の表のとおりです。

項目

ニュークックチル

クックチル

盛り付けタイミング

急速冷却後、チルド状態で盛り付けを完了し、そのまま保存

再加熱後に盛り付け

提供当日の作業

再加熱と配膳のみ

再加熱後に盛り付けと配膳を実施

作業負担のピーク

前日に分散できるため、当日のピーク負荷が軽減

提供直前に作業が集中しやすい

温度管理

再加熱後すぐ提供できるため、適温を維持しやすい

盛り付け中に温度が下がりやすい

衛生面

盛り付け時が低温状態のため衛生的

盛り付け時に常温に触れる時間が長く、菌繁殖のリスクがやや高い

必要人員

提供当日は少人数で対応可能

短時間で大量盛り付けが必要なため人員が多く必要

適した現場

病院、介護施設、学校給食など大量調理での効率化に有効

提供人数が少ない施設や、即日調理・提供が前提の現場

 

クックチルは、加熱調理後に急速冷却を行い、チルド保存してから提供直前に再加熱し、盛り付けを行う方式です。再加熱後に盛り付けを行うため作業時間がかかり、提供人数が多い現場では短時間での大量盛り付けが求められます。このため、作業効率や温度維持の面で課題がありました。

ニュークックチルは、この課題を解消するために工程を変更した方式です。調理後の急速冷却を経て、チルド状態のまま盛り付けを済ませ、そのまま保存します。そして提供直前に器ごと再加熱を行い、そのまま配膳します。この方式では、盛り付け作業を事前に終えられるため、当日の提供準備が格段に簡略化可能です。

衛生面でも違いがあります。クックチルでは再加熱後の盛り付け時に常温状態の時間が増えるため、菌の繁殖リスクが高めです。一方でニュークックチルは、盛り付けを低温状態で行うため衛生的で、温度管理も容易です。こうした違いから、現場の安全性と効率を同時に高められる点が評価されています。

 

ニュークックチルのメリット

ニュークックチルの主なメリットとして、以下の4点を紹介します。

  • 盛り付けの効率化
  • 最小限の人員での提供
  • 厨房の負担の軽減
  • 適温でよりおいしい食事の提供

それぞれのメリットについて詳細をチェックしましょう。

 

盛り付けの効率化

ニュークックチルの最大の特徴の1つは、盛り付け作業をチルド状態で行える点です。加熱後すぐに急速冷却を行うため、料理は低温で扱いやすくなり、火傷や高温環境での作業リスクを大きく減らせます。冷えた状態では、食材の形状が崩れにくく、盛り付けの見栄えをきれいに整えることが可能です。例えば煮物や和え物なども冷えた状態の方が形が安定し、器に均一に配置しやすくなります。

また、チルド状態であれば手袋を着用しての作業も容易で、直接食材を扱っても衛生管理がしやすいというのも利点です。トングや箸を使うよりも作業スピードが速く、とくに大量調理の現場では数分単位で時間短縮ができます。作業工程が短縮されることで、他の準備や清掃などに時間を振り分けられ、厨房全体の効率向上も可能です。

 

最小限の人員での提供

ニュークックチルを導入すると、提供当日に必要な人員を大幅に減らすことができます。従来のクックチル方式では、再加熱後に全ての料理を一斉に盛り付ける必要があり、多くの人手が求められていました。しかしニュークックチルでは、盛り付け作業を前日に終えられるため、当日は再加熱と配膳だけで済みます。これにより、急な人員欠勤やシフトの変更にも対応可能です。

また、スタッフは短時間での集中作業から解放され、余裕を持って利用者対応や衛生確認に時間を割くことができます。こうした環境はスタッフの定着率向上にも寄与し、長期的には採用コストの削減にもつながるでしょう。

 

厨房の負担の軽減

大量調理の現場では、昼食や夕食のピーク時に作業が集中しやすく、厨房スタッフの負担が大きくなります。ニュークックチルでは、盛り付け作業を前日に分散できるため、当日の厨房作業は再加熱と配膳だけに集中することが可能です。この仕組みによって、作業のピークがなだらかになり、時間的な余裕が生まれます。

また、盛り付けは専門的な調理技術が不要な作業であるため、パートやアルバイトなどの非専門職スタッフでも担当可能です。結果として、調理師は加熱や味付けといった専門性の高い業務に専念でき、全体の作業効率が高まります。さらに、厨房内の混雑や騒音も軽減されるため、作業環境が改善され、スタッフのストレスも低減されるでしょう。

 

適温でよりおいしい食事の提供

ニュークックチルは、再加熱後すぐに提供できる点が大きな強みです。従来方式では、再加熱後に盛り付けを行うため、配膳が終わる頃には料理が冷めてしまうことがありました。ニュークックチルでは器ごと加熱し、そのまま配膳するため、最後の1人まで温かい状態で食事を楽しめます。

ニュークックチルなら温度管理が容易になることで、料理の味や香りの安定化が可能です。とくに病院や介護施設などでは、温かい食事の提供は食欲促進や栄養吸収効率向上に直結するため、健康維持の面でも効果が期待できるでしょう。また、適温での提供はクレームの減少にもつながり、施設の評価向上にも寄与します。

 

ニュークックチルの調理の流れ

ニュークックチルによる調理の流れは、主に以下の手順で進められます。

  1. 加熱調理
  2. 急速冷却
  3. 盛り付け
  4. チルド保存
  5. 再加熱
  6. 配膳

各手順について詳しくチェックしてみましょう。

 

加熱調理

最初の工程は加熱調理です。主にスチームコンベクションオーブン(スチコン)など、大量調理に対応できる加熱機器を使用して調理します。食材の中心温度を75℃以上にし、1分以上その温度を保つことが推奨されます。

急速冷却

加熱調理が終わったら、次に行うのが急速冷却です。この工程ではブラストチラーやショックフリーザーを用いて、料理の中心温度を短時間で0〜3℃まで下げます。一般的に、2時間以内にこの温度帯まで下げることが理想とされます。

盛り付け

料理がチルド状態まで冷えたら、盛り付けの工程に移ります。ここがニュークックチルの大きな特徴であり、従来のクックチルと異なる点です。クックチルでは再加熱後に盛り付けますが、ニュークックチルでは冷えた状態で盛り付けを行います。

チルド保存

盛り付けが完了した料理は、提供までチルド保存します。保存温度は0〜3℃が目安で、この温度を維持することで菌の繁殖を抑えることが可能です。保存中は容器にラップや蓋をして、外気や他の食品との接触を避けます。

また、保存期間の目安は3日以内が一般的ですが、衛生基準や施設のルールに従って管理することが求められます。

再加熱

提供時間に合わせて、器ごと再加熱します。専用の再加熱カートやリヒート機器といった再加熱器を使用すれば、盛り付けた状態のまま均一に温めることが可能です。加熱温度は中心温度75℃以上が推奨され、衛生面と食味の両方を確保できます。

配膳

再加熱が完了したら配膳です。ニュークックチルでは、すでに盛り付けが済んでいるため、再加熱後はすぐに提供できます。

 

ニュークックチル導入時の注意点

ニュークックチルは、正しく運用しなければ効果が半減したり、衛生リスクが高まったりする可能性があります。導入前後で押さえておくべき以下の注意点を理解しておきましょう。

  • 温度管理の徹底
  • 衛生的な盛り付け環境の確保
  • 保存時の温度変動防止
  • 再加熱のタイミング管理

温度管理の徹底

加熱調理では中心温度75℃以上で1分以上の保持すること、急速冷却では中心温度を2時間以内に0〜3℃まで下げることが推奨されます。これらの条件を満たさない場合、細菌が繁殖しやすくなり、食中毒の危険が高まります。とくに大量調理では食品の中心まで冷気や熱を均一に伝えるのが難しいため、機器の性能確認や調理量の調整が必要です。

 

衛生的な盛り付け環境の確保

盛り付けはチルド状態で行えるため安全性が高いとされますが、器具や作業台が清潔でなければ意味がありません。作業時には必ず手袋を着用し、器具は使用前に消毒を行います。また、盛り付け中に長時間食品を室温にさらさないよう、作業計画を立てて手早く進めることが大切です。

 

保存時の温度変動防止

チルド保存中は0〜3℃を維持する必要がありますが、扉の頻繁な開閉や庫内の詰め込み過ぎは温度上昇の原因になります。庫内温度計を活用し、常に状態を確認できる体制を整えましょう。

 

再加熱のタイミング管理

早く加熱しすぎると保温時間が長くなり、食感や風味が落ちる原因になります。また、提供時に温度が下がってしまうため要注意です。機器のタイマー機能や調理スケジュールを活用し、提供直前に最適な温度になるよう調整しましょう。

 

まとめ

本記事では、ニュークックチルとは何か、従来方式のクックチルとの違いやメリットなどについて解説しました。

ニュークックチルとは、調理後すぐに急速冷却を行い、チルド状態で盛り付け、そのまま提供直前に器ごと再加熱して配膳する新しい方式です。従来のクックチル方式と比べると、提供当日の作業が簡略化されるだけでなく、最後の1人まで温かい料理を提供できるのが利点だといえます。

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「まごの手キッチン」の食材を活用することで、食事準備にかかる人件費や水道光熱費の削減につながり、業務の効率化と食の安全性を両立することができます。

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