デイサービスの人手不足の原因と解決方法について解説
高齢化の進行により、デイサービスの需要は年々増加しています。一方、介護人材は深刻な人手不足に陥っており、需要に対して十分なサービスの供給が追いつかなくなっているのが大きな課題です。
そこで本記事では、デイサービスの人手不足の現状や原因、解決策について解説します。ぜひ最後までチェックしてください。
介護業界における人手不足の現状
日本の少子高齢化は加速度的に進行しており、介護業界における人手不足は深刻な社会課題となっているのが現状です。厚生労働省の推計(介護人材確保の現状について)では、2022年度の介護職員数約215万人を基準にすると、2026年度までに約25万人、2040年までに約57万人が不足するとされています。
さらに、公益財団法人介護労働安定センターによる「令和5年度 介護労働実態調査」では、介護施設における職員の過不足感について、「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計が約64.7%に上り、深刻な人材不足感が現場に存在することが示されました。
デイサービスの人手不足の原因
デイサービスの人手不足の主な原因として、以下の3点について解説します。
- 介護需要
- 労働環境
- 給与水準
介護需要
日本は急速な高齢化の進行に伴い、日々介護サービスの需要が増加しています。とくにデイサービスは、自宅で生活を続ける高齢者が安心して暮らすための在宅支援の重要な拠点として位置付けられています。利用者は食事、入浴、機能訓練、レクリエーションなど多様なサービスを受けられるため、施設の利用希望者は増加傾向にあります。
しかし、それに見合う介護人材の確保が追いついておらず、結果的に現場の負担が増大しています。厚生労働省の推計では、今後も利用者数の増加が見込まれ、とくに都市部では施設の稼働率が高まり、慢性的な人員不足が常態化する危険性があります。
また、地方でも高齢化率の上昇によりデイサービスの需要は増加傾向です。労働人口の少ない地方では介護人材も限られており、人材の奪い合いの発生も課題となっています。
労働環境
利用者の移動や入浴介助などの身体介助は腰や関節への負担が大きく、日常的に高い集中力と体力を求められます。さらに、利用者やその家族とのコミュニケーションや緊急時の対応など、精神的なストレスも多く、こうした業務の多様さと複雑さが離職の一因となっていると考えられます。
また、不規則な勤務体系も多く、家庭との両立が難しい職員も少なくありません。こうした環境が原因で、経験豊富な職員が体調不良や家庭の事情を理由に離職するケースも多く、新人育成が追いつかない事態が発生しています。
職場の人間関係やリーダー層のマネジメント不足も離職率を押し上げる要因であり、組織全体での環境改善が急務です。
給与水準
デイサービスに従事する介護職員の給与は、低水準であるケースが多い傾向です。夜勤がない分、特別手当がつかないことも影響しています。
賃金水準の低さは従業員のモチベーションに悪影響を及ぼし、結果的に人材流出を招きやすくなります。また、給与の昇給幅が小さい、評価制度が不透明といった要素もモチベーション低下につながるでしょう。
介護報酬の改定によって処遇改善加算などが整備されつつありますが、すべての施設で十分な還元が行われているわけではありません。とくに若年層や中堅層は、生活基盤やキャリア形成の観点から賃金面で魅力が薄い職場を避ける傾向があり、長期的な人材確保の妨げになっていると考えられます。
デイサービスの人手不足を解決する方法
デイサービスの人手不足を解決する主な方法として、以下の5つについて解説します。
- 給与水準や評価制度の見直し
- 労働環境の見直し
- 教育・研修制度の充実
- 業務効率の向上
- ブランディングの強化と情報発信
給与水準や評価制度の見直し
人材確保の第一歩として、給与水準の改善と評価制度の透明化が重要です。
介護職は負担が大きい業務でありながら、他業種と比べて給与が低い傾向があります。これに対して基本給や資格手当、役職手当、勤続年数に応じた昇給制度を充実させることが、定着率向上のポイントです。
さらに、評価制度は客観的で分かりやすく、努力や成果が正当に反映される仕組みが必要です。たとえば、利用者や家族からのフィードバックを評価項目に取り入れる、スキルアップによる給与アップの明確なルールを設定するなどすれば、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。
こうした改善は短期的にはコスト増につながるものの、中長期的には離職率低下と採用コスト削減を実現可能です。
労働環境の見直し
介護職員が安心して長く働ける環境を整えることも、人手不足解消には不可欠です。業務のなかには身体的負担が大きい移乗や入浴介助などがあり、これらは腰痛や慢性的な疲労を招く原因となります。近年では介護ロボットやリフト機器の導入により、身体的負担を軽減する取り組みが進んでいます。
また、シフトの柔軟化や有給休暇の取得促進、メンタルケア体制の整備も重要です。
さらに、職場内の人間関係やチームワークの改善も離職防止に大きく寄与します。たとえば、定期的なミーティングや研修を通じて職員間のコミュニケーションを活性化し、孤立感を減らす工夫が求められます。働きやすい環境を整えることは、現場の士気向上と採用競争力の強化に直結するでしょう。
教育・研修制度の充実
新規採用者がスムーズに業務に慣れ、スキルアップを継続できる環境を作るためには、教育・研修制度の充実が欠かせません。
介護業界では、未経験や異業種からの転職者も多く、入職直後に現場業務に慣れるまでのサポート体制が整っていないと早期離職につながります。具体的には、入職後数週間のOJT(On the Job Training)と定期的なフォローアップ研修、資格取得支援制度の導入が効果的です。
また、リーダー層や管理職を対象としたマネジメント研修も欠かせません。これにより、現場の指導力や組織運営力が向上し、全体の定着率を押し上げます。
業務効率の向上
限られた人員で高品質なサービスを提供するためには、業務効率の改善が必須です。介護現場では、記録作業や事務作業が職員の負担となり、本来のケア業務に割ける時間が減少する傾向があります。ICT化や介護記録ソフトの導入により、入力作業を簡略化し、情報共有をスムーズにすることが可能です。
また、役割分担の見直しによって、専門性を持たない業務は事務スタッフや外部委託に任せ、介護職員はケアに専念できる体制を整えることも重要です。これらの改善により、職員の業務負担軽減とサービス品質向上が同時に実現できます。
ブランディングの強化と情報発信
採用活動においては、施設の魅力を外部に向けて積極的に発信することが必要です。求職者は給与や待遇だけでなく、職場の雰囲気や理念、サービス方針にも注目しています。自社のホームページやSNSを活用し、スタッフの働きぶりや利用者とのエピソード、地域貢献活動などを発信することで、共感を得やすくなるでしょう。
また、採用ページには募集要項だけでなく、職員インタビューや一日の業務スケジュールなど具体的な情報を掲載することが効果的です。さらに、地域の学校や専門学校と連携した説明会やインターンシップの実施により、将来的な人材確保にもつながります。ブランド力が高い施設は、自然と応募者の質と数が向上するため、長期的な人手不足解消の基盤となるでしょう。
まとめ
本記事では、デイサービスの人手不足の現状とその原因、解決するための方法について解説しました。デイサービスでは、需要の増加が続く一方で人材不足が深刻化しており、将来的に多くの介護人材が不足すると予測されています。介護業界の労働環境や給与水準がその原因のひとつです。限られた介護人材から選ばれる施設となるためには、労働環境や給与水準、自社のブランディングなどの改善が欠かせません。業務を効率化して従業員の負担を軽減したり、コストを削減して従業員に還元したりと、さまざまな取り組みが求められます。
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